|

〜金子みすゞの弁明〜
酒蔵公演レポート
中秋の名月が過ぎ、だんだんと秋の気配が深まりゆく10月2日、第27回目の酒蔵公演が行なわれました。ちょうど時を同じくして、愛媛県下をかけぬけた台風21号が、県内各地に大きなつめ跡を残し、多方面での影響が懸念されるなかでの開催の運びとなりました。
今回の公演は、愛媛県出身の作家・早坂暁氏の作・演出による童謡詩人「金子みすゞ」を描いたひとり芝居です。出演は景山仁美さんで、早坂氏の解説から始まりました。彼女の死後70年経て、その死(自殺)という大きな罪に対しての審判がどうされるか。天国ではその罪に対して首にずっと赤い鎖がつながれていたのが、最後にはどういう展開を迎えるのか?暗幕が張られ、ほのかに日本酒の香りのする酒蔵の中で、ギーッという音とともに木造の扉が開き、そこから「金子みすゞ」の遺影と首から赤い鎖をした景山さんが登場します。そうして中央の舞台での、行灯の光のほの暗さの中に、そこだけふわっと浮かびあがったように見える景山さんのひとり芝居に、だんだんと会場全体で酔っていくような感覚を覚えました。「金子みすゞ」の作品とともに、様々な展開をみせるひとり芝居は、思わず息をのむような場面や瞳がうるむような場面があり、かたときも目を離せず、最後には首から赤い鎖がはずれ、自殺という大きな罪が許されて、大きな感動に包まれました。
今回の公演が初演ということで、今まさに出来上がった舞台です。公演の最後には、出演者の方とお客様が一緒に樽酒の鏡開きを行いました。会場全体に広がる日本酒の香りとお客様の笑顔にあふれて、公演は終わりを迎えることが出来ました。台風の影響により、大変な思いで会場にお越し下さったお客様方や、開催にあたって関係して下さった皆様方には、心より深く御礼申し上げます。
勉強不足でお恥ずかしい話ですが、私は今回の公演を機に「金子みすゞ」の世界を知りました。ひとり芝居の中で初めて知ることとなった作品の数々は、とても優しく大きく感じました。「金子みすゞ」の作品は、私の中には今日から、またこれまで知っておられた方にはこれからもそれぞれの心の中に生き続けていくように思っています。私は今回で二度目の酒蔵公演を経験しましたが、来年も酒蔵という歴史ある空間の中で、これまでの古きよきものを語りついでいく、また、新しい感動を生み出すような公演が出来ることを願っています。
梅錦山川株式会社 村上 由衣 
|